大井秀規

彫刻家

プロフィール
出身:長門市仙崎
生年月日:1960年7月15日
血液型:O型
趣味:映画鑑賞・マジック・旅行

略歴
1960年 山口県に生まれる
1979年 山口県立大津高等学校 卒業
1986年 金沢美術工芸大学大学院 彫刻コース終了
1991年 長門市芸術文化奨励賞受賞
1998年 山口県芸術文化奨励賞受賞
1999年 文化庁芸術家在外研修員として渡欧



長門のご出身だそうですが、簡単にプロフィールをお願いします。

金沢の大学へ6年間行き、卒業してこっちへ帰ってきました。ここで、油谷中と向津具中の非常勤講師をやっていたんですよ。その後小野田の方で3年間中学校の教師をし、それからこちらで仕事をしながら、宇部高校の非常勤もしました。
98年に初めてバルセロナの方へ行ったんです。

芸術活動はこちらに帰ってきてからずっとされているのですか?

美大の時からずっと「石彫」という彫刻をずっとやってきてるんです。90年くらいからは版画も一緒にやっていますね。リトグラフという石版画は98年くらいから。今回展示しているのは主に版画ですかね…
今回のは今年の夏に日本に戻ってきてからのものが主です。

作品を見て「3」とか「5」とかがキーワードのような気がするんですが…

例えばカメラの三脚があるじゃないですか。あれも3本です。物を支える形が一番安定してますよね。まあ大地を支えるのに3本とか4本ですよね。2本じゃちょっと不安定…

つまりこの形が落ち着くとかいうことですか?

そうですね。例えばこの彫刻を2点合わせるとすごくアンバランスに見えるんですよね。自分にとってはこれでバランスが取れてると思っているんです。
まあ逆にバランスがとれていない方がいい時もありませけど…

これからの幾何学的なものは何をイメージで作られたのですか?

僕のイメージは「生命力」を表現したいと思っているんですよ。

色んな方が生命力を描かれています。例えばロダンとかの作品なんかもそうですね…あれは人間の形を持って表しているんですよね。
僕の場合は重力の関係…だから「Gravitation」という作品が多いんです。

例えば人間が死ぬとしますよね、そうすると重力に逆らえないわけですよ。反対に馬が生まれてくる時に立ち上がりますよね、あれってすごく重力に逆らっているように感じるんですよ。生きてるってことはその重力に逆らってるわけです。
その重力との関係で生命力を表したいんです。


ここでは結構支える形ってあるんですが、これらはヨーロッパの遺跡を想像して作っています。これ自体にすごい生命力があるとかじゃなくて、これを作った時代の人たちはすごいエネルギーを使って作ったわけですよ
また遺跡の石とかそれを支える柱などは、しっかり大地についていてすごい重力に逆らっているわけですよ。

ところでヨーロッパの話をお聞かせ下さい。


88年にヨーロッパに遺跡とか洞窟とかを見てまわったんです。パルテノン神殿とかストーンヘイジだとかピラミッドだとをね…
まあその中でバルセロナの町が一番印象に残ってて…それからはヨーロッパに行ったら必ずバルセロナに行くって感じですかね。3,4回行ってる内に「ここに住んでみたい!」という願望になったんですかね。
ちょうど10年目の98年から、嫁さんをもらってからあちらに行きました。

バルセロナの良さって何ですか?

とにかく街が生き生きしてるですよね。街が中世そのままというか…そこに現代の要素が入ってるというか。
それとスペイン人独特の明るさが関係していると思うんですが、居て楽しかったんです。その街に旅行に行くのではなく、住んでみたいと思い始めました。

最初はお金もないですから6ヶ月ぐらいで帰ってきました。そして次の年に文化庁の芸術家在外研修制度というので、もう一度行く機会が出来たんですよね。
その制度は1年なんですが、結局行ったり来たりして今年でまる5年になります。

また行きたいと思ってらっしゃるんですね?

行きたいと思ってます。あちらにアパートも残ってますので…

どうやったらこういう物が思い浮かぶんでしょうか?

そりゃ毎日毎日こういうことやってると自然に出てくるんでしょうね。まあアートで自分が長けてるとかは全く思っていません。

これらを書く時って頭の中を真っ白にして書いています。うまく描こうとか考えてなくて、終わったあとにこれって何かに似てるなあと思いますね。
それまで自分自身で何ができるかわかってないというか…



バルセロナでの写真(上から作業場・石版を作る大井氏・棚に並べられた石版)



例えば視点の違う物を見たら自分の作品にどうにか!って思うことってあるんですか?

自然界の生物だとか遺跡だとかを見た時に特に感じますね。最近は車だとか工業製品だとかもそういう要素があるように思います。

自分の中で面白いものだとかを形にしよういう気がなくなるともうだめなんでしょうね。まあボケッ〜としていても、どっかでそういう物を見つけようという気があるというか…

じゃあ日頃からそういう創作活動に繋げているのですか?

いや…それはないです。それを意識しちゃうとだめですね。普通に生活して普通に見つける方が自然に入ってきます。
例えばどこかからモニュメントの制作依頼が入ってきますよね。急に色んな物をそういう目で見てもなんにも出てきませんね。だから普段からそういうイメージが出てきた物は自分の中に蓄えておかないと…

今後も今のようにテーマをしぼって作品を作っていきたいですか?

いや・・・19歳からこうやって石を彫ってきて、自分の中でこの方法で真っ直ぐいこうとも思ってないですよ。まあでも20数年こうしてきたら、多少のブレはありながらも、悪く言えばワンパターンで…まあ全く変えて新しい物を!という気もおきないですね…
やっぱり自然に出てきたものを書いたり彫ったりしていきたいね。

昔の自分は石でも画用紙でも、何でも直角でないと気がすまなかった性格だったんですよ。その点スペインは新品でも家や画用紙が直角がでてないんですよ。そういう意味では、スペインという国はアバウトなんですね。直角がでてないし…

人間の生活において直角がでてないと困るもんじゃないと最近思うんです。自分がスペインで色々と体験していくと実にアバウトな性格になっていったんですよ。
まあスペイン人を見てると金を稼ぐためにじゃなくて、自分たちが楽しく愉快に過ごせるためにどうしたらいいかを考えてます。まず自分たちが生活出来ればみたいなラテンののりの中で生活してるとそうなったのかもしれません。

これからも長門で創作活動を?

全く出る気はないですね!スペインと往復しながらやっていければいいですね。

じゃあこれからはスペインのイメージと長門のイメージで?

向こうに行ってる時に何故か長門の情景が頭に出てきちゃうんですよね。
おもしろい形だとか物だとかは特に…

大井さんにとって彫刻とは?

う〜ん…なんですかね…<長考>…かわいい子でしょうか、分身っていうか…
まあ自分の鏡みたいなもんですね。

このインタビューコーナーの最後に「あなたにとってのLOVEな長門は何ですか?」という質問を聞いていきたいと考えています。大井さんにとってLOVEな長門は何でしょうか?

高校3年までここで育ち、大学で金沢に行き、それから色んな友達が遠方から長門に遊びに来たんですよね…青海島に行って海を見て、湯本とか俵山の温泉に入ったりして。
本当にここは海あり、山ありで自分以上に友達が感動してくれるわけですね。その友達が感動する姿を見て、自分はいいとこで育ったんだとつくづく思いました。

今「街」ってのがどんどん画一化というか、同じような街づくりをやってるように思うんですよね。
海があって、山があって、川があって、これをそのまま残して、人が住みやすい街にすべきだと思うんです。街の人がこの自然を生活の中に共有できるような、それを作るんじゃなくて、残していくって方がいいじゃないですかね。

10年ぐらい経って、過疎の町になってるかもしれませんが、50年後のことを考えるとすごい街なんだと思いますよ。開発すればいいって言うんじゃなくて、周遅れのトップランナーみたいな、いつの間にか最先端の街になってるんじゃないかなと…こんないい街はないですよ。

大井さんにとってはこの「自然」が一番だということですね?

そうですね…この山あり、海ありってのが最高ですね。こんなところは他にはないです。


OI HIDENORI Litografia
[期間] 2004年1月16日〜2月15日
[ところ] ルネッサながと
      文化情報ギャラリー

++ あとがき ++

長門に彫刻家がいらっしゃることが、大きな発見です。作品もそうですが、自分をしっかり持たれて、目的に向かって突き進んでらっしゃるような印象を持ちました。。ご自身のホームページをお持ちだそうですので、ぜひご覧下さい。
http://homepage.mac.com/hideoi/
これからの益々のご活躍をお祈りいたします。

取材日/2004年1月23日

写真/光田写真館
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